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山形: あなたの後ろの人脈へ・・・

名山として知られる月山のふもとの村から
電話をしたのは午前10時25分。


    「もしもし?柴田です。分かりますか?」


相手は、山形での上映を立ち上げ、実行に移してくれた
松井愛さん。
上映でお世話になりながら、これまでお会いする機会がなかった。


月山のふもとからバスを乗り継ぎ、
山形駅に着いたのは午後12時半。
松井さんは、すでにこの間に、
山形フォーラム(映画館)を経営する長澤夫妻、
山形映画祭実行委員会の高橋事務局長、
そして、上映を主催したフリースペース、「ぷらっとほーむ」のメンバーたちに
連絡を入れてくれていた。
はるか彼方だった山形の町が、
急に近い場所になっていた。

  ~  ◆  ~  ◇  ~  ◆  ~  ◇  ~  ◆  ~  ◇  ~  ◆  ~  ◇

32歳、自ら不登校の経験があるという松井さんは、
専門学校の教員をしていたが、
子どもや若者のためのもっと間口の広い居場所を作りたいと
6年前、フリースペース「ぷらっとほーむ」を作った。
共同代表をつとめる滝口さんも、小学校教員を辞め、
「ぷらっとほーむ」を一緒に始めた。


松井さんは、若者や子どもたちと実際に接して、
ともに悩み、ともに成長をする、「ぷらっとほーむ」のお母さん役。
一方、滝口さんは、「ぷらっとほーむ」の頭脳。
今は大学院で社会学も勉強をしながら、「ぷらっとほーむ」の活動を
少し離れたところから見つめ、社会的な意味づけを模索し、提言する。


そんな二人が共同で営む
「ぷらっとほーむ」が、全力を挙げてネットワークをたぐり寄せ、
上映した『ひめゆり』。
松井さんは、直接つながっている知人に次のように言ったという。


   「私はあなたには“ぜひ観てください”と言える。
    だけど、あなたの後ろの人脈には、私からは伝えられない。
    あなたから、あなたの後ろにいる人に
    バトンをつないでほしい。
    たった一人でもいいから。」

   
この言葉は、松井さんの人生の師匠である
山形映画祭の高橋事務局長からの教えだとか。
高橋さんは、上映活動をする松井さんに、
「俺ならもっとここまでやる」と、厳しくも的確なアドバイスをした。

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「ぷらっとほーむ」の頭脳、滝口さんが書いた報告文から。

    ■四月に始動した企画、ドキュメンタリー映画『ひめゆり』の
     自主上映会(6月21日~27日、会場:山形フォーラム)が、
     このほど、大盛況のうちに幕を下ろした。
     さまざまな人びとのご協力のおかげで、当初の目標を大幅に上回る、
     計727名の人びとにご入場をいただき、観てもらうことができた。
     事業評価にあたって観客動員数というのはもちろん大事な基準だが、
     何より、自分たちの「思い」にこれだけの数の人たちが共鳴してくれたのだ
     という事実が、ただただ嬉しい。
    ■ところで、1週間にわたる上映会が始まって発覚した、
     ある興味深いエピソードがある。
     上映初日、舞台挨拶のために、『ひめゆり』を製作した
     プロダクション・エイシアの富士さんに来ていただいた。
     もともと彼自身がいち観客として映画館でこの作品に触れ、
     そこで受け取った「思い」を、さらに別の誰かに手渡そうと思って動き始め、
     気がついたら製作会社スタッフとして
     公式に映画の広報に携わることになっていたのだという。
     山形へは、彼がチラシを届けたとのこと。
          (柴田注)昨年の山形映画祭のときに富士さんが
                『ひめゆり』のチラシを運んで置いていた。
    ■そんなふうに届いた『ひめゆり』チラシの一枚を、
     「ぷらほ」スタッフの松井が偶然手にする。
     「なぜかはわからないけど、絶対に観なきゃいけない気がする」。
     そんな言葉とともに、「ぷらほ」メンバーに差し出されたチラシ。
     「Coccoのメッセージだ」「面白そうだね」「わたしも観てみたいな」・・・。
     感染していく何か。
     だが、山形の映画館での上映予定はないという。
     あきらめるか。
     いや、どうしても観たい。
     じゃあどうする? 
     自分たちで上映しちゃえばいいじゃん!
    ■要約すると、以上のような道すじを経て、
     「ぷらほ」主催の上映企画が始動した。
     「忘れたいこと」を話してくれたおばあさんたちの「思い」が、
     いち観客であった富士さんを動かし、
     彼が撒いたチラシが松井にとどき、
     松井の「思い」が「ぷらほ」のメンバーに伝わり、
     今度はそれが山形の人びとに届いていく。
     観客の人びとの一部は、作品を観た人から口コミで評判を聞いて
     足を運んだとのこと。
     さらには、上山や天童でも上映会を開きたい、との声まで聞こえてきた。
    ■ここにあるのは、「思い」のリレーだ。
     何としてでも誰かに伝えたい「思い」。
     それんな「思い」を抱いてしまったとき、わたしたちはつい
     「どうせ誰にも届くはずない、だから黙っていよう」
     などと予防線をはり、せっかく芽吹いた「思い」を枯らせてしまう。
     でもそれは違う。
     この上映会が一例だ。
     「思い」は伝わる。伝えたいことがあれば、吐き出してしまえばいい。
     空気なんか読まなくていい。
     そんなふうにして、私たちはこの社会をつくり変えていくのだ。

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山形の「ぷらっとほーむ」の面々は
上映終了後も、沖縄にまつわる勉強会を開きつづけている。
松井さんは、8月には、なんと新婚旅行を兼ねて
ひめゆり平和祈念資料館、そして荒崎海岸を
訪れることにしたという。
そう、この映画の根っこは、ひめゆり資料館なのだから。
そこまで行かないと、松井さん自身の区切りがつかないのだという。
     (もっとも、ご主人に配慮し、一日はちゅら海水族館にも行くとか・・・・。
      どえらい新婚旅行になってしまい、ご主人、申し訳ありません・・・・。
      僕からもお詫び申し上げます。)


花笠まつりの踊りの練習にも熱中しているという
「ぷらっとほーむ」の若い人たちの
さわやかな出で立ちが印象的だった。
彼らが、これからの山形を変革していくのだと思うと
とても楽しみだ。

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2008年7月22日 20:58に投稿されたエントリーのページです。

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