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形をつくるよろこび

ロクロを使って皿や壺を作ることにかけては右に出る者のない
若い陶工たちが、
生まれて初めて、羊やロバ、鳥な人物などの造形物を
粘土でこねあげて作る。
最初は渋々・・・・、だけど次第に形を作ることが喜びに変わっていく。
生まれてくる形は、実にユニークで、すばらしい・・・。
そんな場面に立ち合わせてもらった。


陶工たちは、アフガニスタンの陶器の産地として有名なイスタリフから来た。
国際交流基金の復興支援の一環で招かれ、
愛媛県砥部焼の白潟八洲彦さんが指導に当たっていた。
「イスタリフは、かつてはシャー(元国王)の避暑地として、そして、
ぶどう畑の茂る観光地として栄えていた。
800人近い商人が集まるバザールが栄え、
地元の陶芸品はそこで売られていた。
だが、1990年代後半にかけて北部同盟とタリバンの戦争の前線となり、
町は完全に破壊された。
その復興のためのひとつの支援として、
日常食器だけでなく、形ある造形を作る技術を伝え、
村に広めてもらいたい」という。


アフガニスタンの造形といえば、
バーミヤンの大仏像をタリバン政権が爆破したことが
記憶に新しい。
偶像を作ったり崇拝することはイスラム教では禁止されている。
でも、「掟」には運用の弾力性があり、
観光のために羊やロバの像を作ることは、
タリバン政権のもとなら許されないが、
今のアフガニスタンでなら歓迎されるだろうという。


僕は、基金から依頼されて撮影に行ったのだが、
陶工たちの手からひねり出されてくる形の大らかさに驚いた。
そして若い陶工たちの顔が喜びに生き生きと輝くことに
心を打たれた。
感動しながらも、頭の片隅では、
「イスラム教の人にこういうことを教えて大丈夫なのだろうか」
と心配しながらカメラをまわしていたのだが、
若い陶工、ヌール・アフマドさん、アブドゥル・マティンさんの2人は
「もっともっと作ってみたい、
アフガニスタンの土の性質ではすぐに真似するのは難しいが、
帰国したら村人たちと粘土についても工夫をしていきたい」
という。


形をつくる喜び、それは人間の本性に根ざすものなのだと感じた。
宗教が偶像を作ることを禁止しようが、
彼らの身体のなかには、バーミヤンの仏像を作ったあの遺伝子が
脈々と息づいているのだ。


この支援、アフガニスタンの人々に広く受け入れられ、
未来に根付いて行ってもらいたいと願う。
そこまで至れば、日本とアジア、シルクロードの交流史のなかで
画期的なできごととなるだろう。
多難だろうけれど、形をつくりあげるあの喜びの顔を、
アフガニスタンでもっともっと見てみたい。

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2008年12月14日 12:18に投稿されたエントリーのページです。

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