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「千年の一滴」 映画評07 纐纈あやさん


僕がもっとも注目する若手ドキュメンタリー作家、
纐纈あや監督から、映画評をいただいた。

   日本の「和食」が世界無形文化遺産に登録された
   というニュースを聞いた時、
   自分とはかけ離れた遠いところの話しを
   聞いているような気がした。
   私が普段の暮らしの中で口にしているような食事のことではなく、
   いわゆる三ツ星の料亭で出されている"和食"を
   指しているのだろうと思い込んでいたからだ。


   そして、柴田昌平監督作品の
   「千年の一滴 だし しょうゆ」を観た。
   観ているうちに、
   次第に胸が熱くなり、そして心震えた。


   人々がこの日本の風土の中で、
   毎日毎日、生きることに向き合い、
   食べものを獲得し、
   自然界の見えざる力を読み取り、
   智慧を働かせ、
   育み、
   積み重ね、
   引き継いできたそれが、
   私が日々、何気なく口にしている
   だしやしょうゆの一滴になっているのだと。


   その感動が、身体の底から湧き上がってくるのを感じた。


   趣向を凝らした美しいカットの連続から、
   このひとしずくに千年、いやそれ以上の時間の連なりが
   凝縮されているのだということを、
   先人たちへの敬意と共に、余すところなく表現している。


   今後、この作品は
   日本の食をテーマにしたドキュメンタリー映画の
   代表作となることだろう。
   そして、この映画によって
   自分たちが日々いただいている和食が、
   先人たちが汗水流して築き上げてきた
   私たちへの遺産であることに
   思いを馳せたい。


     --------纐纈あや(映画監督)


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2015年2月 7日 20:52に投稿されたエントリーのページです。

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