■公募による「アニメ原画作者」が決定しました。

 このたびは「アニメの原画作者募集」に多数のご応募をいただき、ほんとうにありがとうございました。
 全国から全部で18 名及び2団体の方々からご応募をいただきました。お寄せいただいた皆さまに、深く感謝申し上げます。
 審査員の先生方、そしてひめゆり平和祈念資料館の委員会で十分に検討を重ねた結果、以下のお二人の方の原画を採用させていただくという結論に達しました。

採用させていただく作者
  ・海津 研さん(31 歳)
     ひめゆり学徒の戦場と現在とを重ね合わせながら、深い心象をともなった風景
     として水彩画で表現していました。
  ・三田圭介さん(32 歳)
     学園生活を謳歌していた3人の少女(仲良し3人組)が戦場へと巻き込まれて
     いくオリジナルなストーリーを水彩組画で見事に描き切っていました。

 お二人の原画をもとに、来年の完成をめざして、アニメを制作していく予定です。

 なお、原画作者として採用されなかった作品については、来年秋以降に、資料館内で企画展示をする予定です。時期や内容が決定いたしましたら、再度ご案内申し上げます。
 皆さまにお力を賜りましたこと、再度、深く感謝申し上げます。

2008年10月22日

ひめゆり平和祈念資料館 アニメ・プロジェクト




以下の公募は締め切りました。(2008年6月30日)



「ひめゆり」アニメ・プロジェクト

 アニメ原画作者の募集

あなたの絵の力を貸してください


ひめゆり平和祈念資料館 開館20周年事業(2008年度)

はじめに



沖縄のひめゆり平和祈念資料館では、沖縄戦で亡くなっていった女生徒たちの体験や思いを、小学生にも理解できるように、短編アニメーション作品の製作を計画しています。
できあがった作品は、ひめゆり平和祈念資料館の中で上映します。
あの戦争を生きのびた生存者たちが体験を語れなくなった後も、末永く上映したい。20年、30年経っても古くならないような作品を作りたいと思っています。


そこで、皆さんの力をお借りしたいのです。


作品のベースとなるイメージ絵を募集します。応募いただいた絵の中から、一枚あるいは数点の作品を選び、アニメ作品に発展させていきたいと思っています。
つまり「原画作者」「キャラクター作者」「背景作者」となりうる人を探し出したいと思っているのです。


あなた自身がアニメーターである必要はありません。しっかりとした一枚絵が描ければ、それを別のプロの手によって動かしていくことは可能です。


以下に、作品の核となるシーンの例を挙げてみます。
どれかひとつ、あるいは複数のシーンを選び、絵にして応募していただけませんか。
あるいは、例にとらわれず、自らのストーリー構想とともに作品をお送りいただいても大歓迎です。


なお、アニメ作品の原画として採用されなかった場合も、審査を通して、ひめゆり平和祈念資料館内に作品を企画展示させていただくことを計画しています。
ふるってご応募ください。


ひめゆり平和祈念資料館 アニメ・プロジェクト
2008年1月15日


☆課題

次の中から、どれかひとつ、あるいは複数のシーンを選び、絵にして応募してください。

あるいは、下記の例にとらわれず、自由にストーリー構想を練り、自らのイメージ絵を描いていただいても結構です。


■戦前の学園生活

A. スポーツと少女たち

1.弓道部で全国大会に出場したAさん
2.軟式テニス部で一人壁打ちをしながら練習に励む下級生のBさん
3.夜の寮で大騒ぎし、厳しい先生に「運動場10周」を命じられた生徒たち

B. 教室での少女たち

1.ラケットをギターがわりに歌うCさん、周りにはいつも笑いがあった。
2.教室の片隅でいつもひっそり読書にふけるDさん、愛読書は「アンナ・カレーニナ」、「ゲーテ詩集」などだった。

C. ピアノの上手なE先生

細身でいつも元気がなさそうな歩き方をするE先生だが、ピアノを弾くときは、ものすごい迫力。戦場に動員される前夕、よろよろのジャケットを着ながら、生徒2人とともに夕暮れまで「月光」を弾き続けた。

D. 反骨の授業を行ったF先生

黒板に「精神」と「物量」という二文字を大きく書き、生徒たちに「どちらが勝つと思うか」とたずねるF先生。生徒たちは口々に「精神だ」と答えると、「いや、物量にはかなわない」と答えた。

E. 制服の変化

最初はセーラー服だった制服も、戦争が深まるにつれ、全国統一のヘチマ襟へと変化した。さらに師範学校女子部では着物形式の標準服となった。セーラー服にあこがれていた生徒たちはがっかり。

F. 寮生活 〜 美人投票

多くの生徒が寮に入っていた。1年生が入寮すると、どの部屋でもまず「美人投票」が行われた。必ず、新入生のうちの誰かが選ばれるようになっていた。選ばれた1年生に、先輩たちは「さあ、美人に選ばれたんだから、記念に皆にお菓子をおごって」と催促。新入生にとってはドキドキだが、こんなひとコマが、後には深い思い出となって残る、伝統の「入寮の儀式」だった。


(注)戦争を知らない人は、戦争に向かっていくときは街に軍歌が鳴り響き、みんなが日本の勝利をひたすら祈っているような異常な状況になると思いがちですが、ひめゆりの少女たちの経験では、ありふれた日常の中で進行し、戦争へと突入していったことを表現したいのです。




■戦場へ

G. 負傷兵がひしめく壕の中で「私の人間性って何?」と自問する少女

壕の中には、たくさんの負傷兵が横たわっている。その片隅では、手足切断の手術が、カーバイトランプをたよりに行われていた。切断された足を捨ててくるように命じられたE。重たい足を持ちながら、ふと立ち止まる。「私って、血も涙も感じない人間になってしまった」と。

H. 洞窟の中での姉妹の別れ

戦場ではさまざまな別れがあった。一組の姉妹がいた。姉は負傷し、動けないため、壕の奥に寝かされている。持ってきていた小説を、ろうそくの光をたよりに読んでいる。このまま壕に居続けることは、せまってくる敵に殺されることを意味する。妹は「姉さんだけ残していくわけにはいかない」と傍にたたずむが、負傷した姉は本を読みながら「行きなさい」という。

I. 青い海のひろがるゴツゴツとした珊瑚礁の海岸

陸からは火炎放射を吐く戦車が迫ってくる。海には軍艦が群れている。
友達と抱き合いながら「怪我をして苦しむより、砲弾一発で吹っ飛ぶといいな」と祈る少女たち。手榴弾で自決をすることを選んだ生徒たちもいる。

J. 満月の海岸 絶望した少女たちは口々に叫ぶ。

「もう一度青い空の下を大手を振って歩きたい」
「お母さんに会ってから死にたい」



■戦後

K. 賑やかな大通り。自動車を運転する年老いた女性

平和な街で楽しげに暮らす人たちを運転しながら、ふと見る。
ここは60年前には、仲良しだったYと一緒に歩いた道だ。
彼女の目には、いつも亡くなったYの姿が見えている。
運転しながらYに「きょうはこんなことがあったよ」と語りかける。

           

L . 行方不明の少女たちはどこへ行ってしまったのだろう。

戦場で別れたまま、いまだに行方不明になっている少女たちはたくさんいる。彼女たちはどこへ行ってしまったのだろう?どんな最後をとげたのだろう? 60年以上たっても、風景を見るたびにそう思う。天国へ行ってくれていたらなあと祈らざるをえない。




上記の例にとらわれず、自由にストーリー構想を練り、自らのイメージ絵を描いていただいても結構です。



●注意点

現段階では、リアリティーにはこだわらなくて結構です。
作品の宇宙観や世界観を表す絵、あるいは背景はなくとも魅力的なキャラクターが描かれているだけでもよいです。
クレーアニメなどの手法でもかまいません。
もちろん、リアリティーにこだわっても結構です。
既存のアニメーションにとらわれず、どうか自由な発想でイメージを寄せてください。




☆応募要領

* 応募期間 :2008年1月〜2008年6月末日(当日消印有効)

* 応募先

    〒901-0344 沖縄県糸満市字伊原671-1
     TEL 098-997-2100
    ひめゆり平和祈念資料館 アニメ・プロジェクト宛


* 送付してほしいもの、内容

    1.イメージ画 (画材、サイズは自由です)
    2.どのシーンを選んだか、そして、その絵についての説明文。
      あなたの考えを伝える文章を添えてください。
      また、例文にとらわれず自由な構想で描いた場合は、
      あなたの展開構想・構成案を書き添えてください。(書式は自由です)
    3.あなたの連絡先を明記した書類
      (名前、住所、電話番号、メールアドレスなど、
       こちらから連絡が取れる連絡先)


* 問い合わせ先: boshu@himeyuri.info


* 募集の結果は、期間終了後にメールあるいは文書でお伝えします。


* 審査にあたっては、以下の方々にも審査員として加わっていただきます。

    ・丸山正雄(マッドハウス創立者,『はだしのゲン』『時をかける少女』『パプリカ』他)

    ・平田敏夫(アニメ監督)

    ・又吉 浩(沖縄県立芸術大学講師、アニメーション作家)

    ・柴田昌平(ドキュメンタリー映画『ひめゆり』監督)



(注1) お寄せいただいた絵をもとにアニメーション作品を作成することになった場合は、作者等のクレジット表記をするほか、製作スタッフの一員として参加いただくことも検討させていただきます。


(注2) お寄せいただいた絵は返却いたしません。お送りいただくのは、原版でも結構ですし、コピーでも構いません。ただし、資料館で企画展示をすることになった場合、後日、原画を送っていただきます。





●参考資料

(1)「ひめゆり平和祈念資料館 ガイドブック」(ひめゆり平和祈念資料館発行)

(2)「墓碑銘」(ひめゆり平和祈念資料館発行)

(3)「ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」(角川文庫)

※(1)(2)については、ひめゆり平和祈念資料館に電話かメールでお申し込みいただければご購入いただけます。
       電話でのお申し込み: 098-997-2100
       メールでのお申し込み boshu@himeyuri.info



★インターネット上の以下のページもご参照ください。

http://www.himeyuri.or.jp/top.html (ひめゆり平和祈念資料館公式ホームページ)