長編ドキュメンタリー映画「ひめゆり」 トップ頁へ
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2007年8月15日、16日 新宿区四谷区民ホール

報告 特別上映会 「ひめゆりの風」

 ~Cocco・柴田監督・元ひめゆり学徒と共に~
みんなで観よう 映画『ひめゆり』


トーク6

知らないことは恐ろしい
判断力をもってほしい

柴田:ありがとうございます。トークの時間そろそろ終わりなんですけれど、淑子さんと喜久子さん、一言ずつみんなに言葉がありますか。じゃあ淑子さんから行きましょう。

島袋:私達は62年前3月23日に艦砲射撃が始まった日に学校を出発します。ここにいらしてくださっている若い人たち、みんな戦争を知らない人ばっかりです。 知らないことは恐ろしいということをいいたいのです。

私達はあの15年戦争の中で生まれて、中国との戦争が始まり、南京陥落、重慶陥落、とたくさんの人の命が失われているのに、「アジアの民族を救うための戦争だ」とか、「今日本が立ち上がらなければアジアの民族は奴隷にされる」といろんなことを言われると、それを信じて。今のようにインターネットとかテレビとかありませんし、当時の情報はラジオだけですけれど、ラジオだってみんな軍が握ってしまいます。不利なものは流しません。嘘も方便というか、嘘の報道を堂々とやるのです。いつも負けていても「勝っている勝っている」という報道を流され、本当の戦争の恐ろしさを知りませんでした。

いよいよ、敵が上陸するらしい。今日、南風原(はえばる)陸軍病院に行くと言われても、1週間もすれば勝ち戦で、「よく頑張ったぞ、ご苦労だったな」と言われて学校に戻れると思っていたのです。

先生方も友達も240名が一緒になって学校を出発をしましたので、まさかお友達が123名も死んでしまう。沖縄の住人、生まれてまだ名前もつけられていない赤ちゃんまでいれると、20万近くの人の命が失われる戦争に巻き込まれるとは夢にも思いませんから、みんな頑張ろうねって学校を後にしたんです。 だから、知らないということは恐ろしいこと。本当にこれが正しいか、何が間違っているか、判断力というか、それを知って欲しいと思います。あんまりたくさん、私がしゃべりすぎると・・・。宮城さんがまた、たくさんおっしゃるでしょう。

(会場笑い)

無知なまま戦場に行って悔しい

宮城:島袋さんが言われたように私たちは無知なまま戦争に行って、そして初めて爆弾を見ました。まったくそれぐらい無知なまま戦場に行って、むごさ、つらさ、悲しさ、全てを味わいました。体験をしました。

そして、一番何よりもくやしかったのは、211名の学友と16名の引率の先生方、(ひめゆり学園全体で)227名の死でした。一緒に戦場に行き、ほとんどの人が二度と帰ることが出来なかった。そういう悔しさは戦争が終わってやっとわかったんです。 そういう意味で、いかに自分たちが無知なまま戦場に行ったかということが、まだその悔しさが残っています。

注)学徒隊に参加しなかった生徒も含む「ひめゆり学園」(女師・一高女)の沖縄戦での犠牲者は227人。

私たちは18年間資料館の中で、映像を通してたくさんの方にメッセージを送ってきました。18年間すべて館内です。1回も(証言映像を)外に出したことなかったんです。 18年目にして初めて社会に向けて、いろんな場所でこうしてみなさんにメッセージを送るようになりました。

まず私が感動したのは、たくさんの方が「初めて知った」とか、「戦争というものはこんなに恐ろしいことか」と、しっかりとわかってくださったということ。

命を大切にしてください。これが私たちの願いです
一つだけ条件があります。平和じゃないと生きられない

宮城:若いみなさんが戦争の恐ろしさを、体験をしなくても感じてくださって。それから命を大切にしてください。これが私たちの願いです。人間の一番の全ての原点は命ですよね。 特に若いみなさんが命を大事にして頑張ってくださったらと思います。でも、一つだけ条件があります。平和じゃないと生きられないのです。平和じゃないと生きられないという事実もまた、知ってくださって、命を大事にしてくださることを心から願っています。

柴田:8月15日、Coccoさんにとっては今日は大事な日でした。「想い事。」という本が出ましたね。その本に込める想いがありますか?

Cocco:(手を振って)本の話はいいよ。

柴田:じゃあ、Coccoさんは想いを歌で伝えてださるという事で、ミニライブのコーナーに移りたいと思います。本当に今日は喜久子さん、淑子さんCoccoさんありがとうございました。

(会場拍手)

(Coccoさんと島袋さん握手。会場からもらった花を、Coccoさんが島袋さん、宮城さんに渡す。ひめゆりのお二人退場。足早にニコニコしながらCoccoさんと柴田監督も腕一杯に花束を抱えて退場)

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第三部は、Coccoさんと長田進さんによるミニ・ライブ。

『お菓子と娘』などをCoccoさんは歌った。会場では、大勢の若い人たちも、歌声を一緒に響かせた。

Coccoさんは歌の途中で語った。「終戦の日は、死んだ人に黙祷を捧げるだけでなく、生き残った人に、生きていてくれてありがとうという日だ。」
そして、ひめゆりのお二人に語りかけた。「自分だけ生き残って申し訳ないなんて思わないで。生きていてくれてありがとう・・・。」

最後に、この日レコーディングを終えたばかりという新曲『ジュゴンの見える丘』を歌い、この会はしめくくられた。


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